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研究報告

住友化学 技術誌  2001 - I (2001年5月31日発行)

新規いもち病防除剤デラウス®の開発

デラウス®(ジクロシメット、委託試験番号:S-2900)は、当社が開発した新しいタイプのいもち病防除剤である。いもち病はイネの病害の中でもっとも被害の大きい病害で、稲作の安定生産のためには、本病害を的確に防除することが極めて重要である。最近でも、1993年のいもち病の大発生が全国で大きな被害をもたらしたことは記憶に新しいところである。そのような状況下で当社はデラウス®の開発を鋭意進め、2000年4月に農薬登録を取得し販売を開始した。
ここでは、デラウス®のスクリーニング研究の経緯、病害防除作用、製造法、物性、製剤、安全性、動植物代謝、環境挙動などについて紹介する。
( page 4~13 by 小栗 幸男、真鍋 明夫、山田 好美、井上 雅夫、中野 実 、門岡 織江、安斉 公 )

フルミオキサジンの発明と開発

住友化学で発明されたフルミオキサジンは、クロロフィルの生合成を阻害する事で雑草を枯殺する除草剤である。フルミオキサジンは、人間の健康、環境に対し大きな安全係数をもち、ダイズ、ピーナッツのような作物圃場、果樹園、非農耕地の除草剤として南アメリカ、フランス、中国、日本で上市されているが、本年にアメリカ合衆国で登録取得でき、主要な農業国での登録が取得できた。
( page 14~25 by 永野 栄喜、佐藤 良、山田 昌宏、船木 雄司、古田 リツ子、藤澤 生、川村 聡 )

光誘導型ジンクフィンガー転写因子の導入による強光ストレス耐性の付与

潜在的に二酸化炭素を大量に固定化するポテンシャルの高い半砂漠地域のような厳しい環境ストレス下でも生育可能な植物の育成のための基盤技術開発として、光ストレス耐性植物の育成研究を実施している。モデル植物であるシロイヌナズナは中程度の光ストレスを与えて光適応させると、強光ストレス耐性が向上することから、光適応時に誘導される遺伝子群を解析した。その中で転写因子であるジンクフィンガータンパク質RHL41を見出し、本遺伝子を高発現させた組換え植物は強光耐性が向上することを示した。RHL41は光適応/ストレス防御に関わる転写調節因子として機能していると考えられる。
( page 26~32 by 飯田朝子、大江田憲治 )

環境保全型農薬“粘着くん®”の特徴とその有効な使用方法

“粘着くん®”は、(株)アグロスが開発した化学殺虫成分を含まない、環境にやさしい殺虫・殺ダニ剤である。有効成分に食品であるデンプンを使用し、環境の各方面にきわめて高い安全性を有するとともに、粘着力や窒息死によって効果を発揮するため、害虫の抵抗性発達のおそれがない。天敵類に悪影響をほとんどおよぼさない粘着くん®の特性を生かして、イチゴ(施設)とカンキツ園でハダニ類の防除試験を実施したところ、粘着くん®の速効的な効果と天敵の持続的な効果がうまく補完され、長期間ハダニが低密度に抑制された。粘着くん®は、現在の環境保全型農業の流れの中にあって、有効な防除資材になりうると考えられた。
( page 33~37 by 本藤 勝、田中 信隆、佐藤 英嗣 )

新規抗精神病薬ペロスピロン(ルーラン®)の創製と研究開発

住友製薬ではアザピロン系化合物の合成技術を基盤とした探索研究を行ない、新規なセロトニン-ドパミン拮抗タイプの抗精神病薬ペロスピロン(ルーラン®)の開発に成功した(2000年12月、製造承認)。ペロスピロンは従来の抗精神病薬と異なり、脳内のセロトニン-2およびドパミン-2受容体に対して強力な拮抗作用を有し、これら複合作用を介して抗精神病効果を発現する。臨床試験においても、ペロスピロンが精神分裂病の陽性症状のみならず、既存の薬剤が効き難い陰性症状に対しても優れた効果を示し、かつ、その錐体外路系副作用が緩徐であることが確認された。これらの成績から、ペロスピロンは臨床での有効スペクトルの広い新しいタイプの抗精神病薬として位置づけられる。
( page 38~45 by 大野 行弘、安徳 富士雄、土屋 俊郎 )

新世紀医療のフロンティア -脳機能の画像化診断-

近年、医療の現場において画像診断の果たす役割はますます大きくなってきている。特に脳の疾患においては、非侵襲的な画像診断が本質的に重要な役割を果たしている。エックス線断層撮影法(CT)や磁気共鳴画像(MRI)が脳組織の形態を画像化する手法であるのに対し、核医学検査は放射性医薬品を体内に投与し、特定臓器に取り込まれた放射性同位元素が放出する放射線を体の外から特別なカメラで測定、コンピュータで脳血流や脳代謝等の機能画像を作成する手法である。したがって、核医学検査によって得られる情報はCTやMRIとは本質的に異なるものであるといえる。例えば、脳卒中や痴呆の初期にはMRIによる脳の構造の変化は認めないが、既に脳内の血流やエネルギー代謝は異常を来しており、核医学の手法でこれらの病態は的確に把握できる。また神経伝達物質及び受容体のイメージングは脳核医学検査の独壇場である。本稿では、核医学による脳機能の画像化の現状と当社の取り組みについて紹介する。
( page 46~54 by 松本 博樹、前川 顕 )

ポリマービーズのアンチブロッキング剤への適用

当社が新たに開発したポリマービーズであるCSシリーズABAは、ポリプロピレンと良好な親和性を持つポリマー構造と狭い粒径分布を有している。このポリマービーズをOPPフィルムのABAとして用いると、均一な表面突起を与えることによる、優れたアンチブロッキング性、良好な透明性、良好な耐傷つき性、脱落が少ない、というABAにとって好ましい性能を示す。
( page 55~61 by 江原 健、谷村 博之、細田 覚、山崎 和広、橋本 剛、貞利 甫 )

ARC®測定データの実装置への適用方法

ARC®は、反応性化学物質の熱暴走危険性評価に有効な断熱熱量計である。本稿は、ARC®測定データを実装置に適用する際に必要なφ補正について、当社で採用している方法を紹介した。さらに、安全面でのプロセス上限温度であるADT24の概念と当社の評価手順を解説した。最後に、自己反応性物質や有機過酸化物を輸送する際の包装品の温度管理の指標となるSADT(自己加速分解温度)をARC®測定データから推定する方法を紹介した。
( page 62~70 by 菊池 武史 )

【技術紹介】高性能窒素・炭素測定装置-スミグラフNCシリーズ-

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