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研究報告

住友化学 技術誌  2005 - I (2005年5月31日発行)

LCPキャストフィルムの開発

液晶ポリマーのフィルムは、優れた電気特性、寸法安定性や耐熱性などが注目され、プリント基板の用途で盛んに開発がなされている。従来、液晶ポリマーは溶液キャスト法でのフィルム化が困難とされてきた。当社がこの液晶ポリマーのキャストフィルムの開発に成功したことで、既に液晶ポリマーの適用が始まっているフレキシブルプリント配線板や多層板などへの展開に加え、液晶ポリマーフィルムのアプリケーションを大幅に拡大できると思われる。
( page 4~13 by 岡本 敏,細田 朋也,片桐 史朗,大友 新治,伊藤 豊誠 )

視覚情報を活用した生産支援の取組み -検査・計測・監視における技術開発-

画像処理技術は現在さまざまな分野で利用されている。当社では、単に視覚作業を画像処理に置き換えるだけでなく、視覚情報を活用した生産支援システムの構築を行っている。そのためには、適切な画像を得るための観測系の構築から画像処理アルゴリズム開発、生産工程への視覚情報の供給、工程改善までを含んだ総合的なシステム開発が必要である。本稿では、生産支援システムに必要な技術及び実際の開発事例として、検査・計測・監視の3分野における画像処理システムを紹介する。
( page 14~23 by 篠塚 淳彦,廣瀬 修,鈴木 孝志,清水 誠也,鷲崎 一郎 )

高性能施設園芸用被覆フィルムの開発

これまで日本の施設園芸は、消費者の嗜好や利便性を第一に発展し、食の多様性に応えてきた。一方、大量消費を支えてきた農業技術には、食の安全や環境保護の点で多くの課題がある。そのため最近では、省資源・低エネルギー消費を前提に食の安全確保を図る新しい技術開発が求められている。本稿では、高性能施設園芸用被覆フィルムの技術思想について概説するとともに、消費者と農業の将来を展望した当社の取り組みについて述べる。
( page 24~32 by 阪谷 泰一,南部 仁成,児島 伴樹 )

新規殺虫剤ピリダリルの発明と開発

ピリダリル(一般名)は当社が独自に発明、開発した新規殺虫剤であり、棉、野菜、果樹の鱗翅目及び総翅目害虫に高い防除効果を示す。また従来とは異なる新規骨格と作用メカニズムを持つことより、既存の殺虫剤に対して感受性が低下した害虫にも効果がある。さらに害虫に対する薬効の選択性が高いため、天敵昆虫や有用生物への影響も少なく、IPMに適合する。当社は、まず2004年に韓国、日本における農薬登録を取得し、商品名「プレオ®フロアブル」として販売を開始し、順次、多くの国で開発・登録・上市を進めている。
( page 33~44 by 坂本 典保,植田 展仁,梅田 公利,松尾 三四郎,葉賀 徹,藤澤 卓生,冨ヶ原 祥隆 )

セマフォリン阻害剤による中枢神経再生

中枢神経に傷害を受けた場合、機能回復が難しいことは古くからよく知られている。我々は大阪城公園の土壌から単離したカビの生産物から非常に強い神経伸長抑制活性を持つことが知られているセマフォリン蛋白質に対する低分子阻害剤(SM-216289)を見いだした。SM-216289は 1µM未満の低濃度でセマフォリンの活性を完全に阻害する。神経傷害モデル動物を使った実験からこのSM-216289を投与することによって中枢神経の再生が促進されることがわかってきた。セマフォリン阻害剤は中枢神経の再生促進剤という全く新しい薬になると期待される。
( page 45~51 by 熊谷 和夫,菊地 薫,岸野 晶祥,細谷 宜生,伊藤 彰,佐治 幾太郎,木村 徹 )

仮想スクリーニング統合システム ~薬師“Xsi”ver.1.0~ の開発と応用

コンピュータ上で薬効分子を探索する仮想スクリーニングにより莫大な数の化合物を迅速にスクリーニングすることができる。仮想スクリーニング技術は、標的蛋白質とリガンド間の相補性を解析するSBDD手法と、リガンド間の相同性を解析するLBDD手法に大別される。我々は、現行の技術レベルを改善し、より精度の高い仮想スクリーニングを可能にするため、両手法を統合的に利用するマルチプルドッキング解析法を考案した。本稿において、この解析法を実現する為に開発した仮想スクリーニング統合システム“薬師(Xsi)”および実際の創薬研究を想定した検証事例を併せて紹介する。
( page 52~62 by 山崎 一人,金岡 昌治 )

アウトガス・放散ガス評価

アウトガス分析は、化学汚染の発生源調査の方法として工業的及び環境的の双方の分野において重要性が増している。アウトガス試験法には試料を加熱してアウトガスを加速するダイナミックヘッドスペース法(DHS)が用いられる。材料からのアウトガスの発生速度や減衰速度は、実験温度に依存する。本研究ではアウトガスの発生速度や減衰速度の関係について検討を行い、実験結果からアウトガス挙動のモデル式を提案した。
( page 63~71 by 野中 辰夫,大川 典子,大橋 一俊,竹田 菊男 )

住友化学株式会社大阪(春日出)地区研究所の図書・情報室の新しい体制とその機能

住友化学(株)大阪地区(春日出)の図書・情報室は2003年4月にこの地区にある4研究所と大阪工場を対象に情報サービスを開始した。この新しい図書・情報室は、従来からある複数の研究所を統合し、かつ(株)住化技術情報センターへの業務委託を行うことで大きく生まれ変わった。我々はこの情報機能が、住友化学研究所の21世紀にふさわしい情報発信の要となり、図書室が研究者の新しいアイディアを生む思索の場所になるというコンセプトを掲げて研究者ニーズの発掘と対応に努めている。本稿では、図書・情報室の体制と情報機能のアクティビティを紹介する。
( page 72~81 by 岡 紀子,本間 文子,安永 郁男,橋爪 新太,法宗 布美子 )

【技術紹介】電気・電子分野に使用されるポリカーボネート樹脂

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