現在地
HOME > 研究開発 > 研究報告 > 研究開発論文 > 住友化学 技術誌 2011 - Ⅰ(2011年5月31日発行)

研究報告

住友化学 技術誌 2011 - Ⅰ(2011年5月31日発行)

新規いもち病防除剤イソチアニル(スタウト®)の開発

イソチアニル(スタウト®)は、イネの最重要病害であるいもち病に対し低薬量で優れた防除効果を有する植物病害抵抗性誘導剤である。2005年より当社開発化合物であるクロチアニジンとの混合剤開発を開始し、2010年5月に水稲の主要病害虫に高い殺虫・殺菌効果を有するスタウト®ダントツ®箱粒剤およびスタウト®ダントツ®箱粒剤08の農薬登録を取得した。本剤は、イネに対する安全性が高いため、播種前から移植当日までのいずれの時期でも使用が可能であり、作業の分散化・効率化に貢献できる。本稿では、イソチアニルの基本的性質、防除特性、製剤物性、安全性、動植物代謝および環境挙動などについて紹介する。
( page 4~17 by 小川 正臣、門脇敦、山田智也、門岡 織江 )

LCPのLED周辺部材への展開

LEDの用途展開は、LCDのバックライトユニット(BLU)を経て、一般照明、車載用途へと開発がシフトしてきている。今後高出力LEDが不可欠な開発要素技術であり、材料自体の技術革新も求められている。具体的にはパッケージ筐体に用いる樹脂の高耐熱化、実装材料の高熱伝導化などが急務の課題となっており、独自の2つの技術、新製法(触媒法)による樹脂の白色化やLCPの可溶化などを駆使して、それぞれLEDパッケージ筐体、LEDモジュール用超放熱基板への取り組みを開始している。本稿ではその一端を紹介する。
( page 18~30 by 岡本 敏、松見 泰夫、齊藤 慎太郎、宮越 亮、近藤 剛司 )

省燃費タイヤ用 溶液重合SBRの開発と展望

省燃費タイヤのトレッド部に用いられる溶液重合SBR(Styrene-Butadiene Rubber、スチレン-ブタジエンゴム)の需要は、世界的に自動車燃費規制が強化される中で急速に拡大しており、2011年には年間35~40万トンが見込まれている。当社は、分子量や分子量分布、末端構造などの一次構造を緻密に設計・制御したSBRを国内外のタイヤメーカーに供給して、高い評価を得てきた。本稿では高性能省燃費タイヤを取り巻く最近の状況を概観した後に、著者らのポリマー設計・合成技術、最新の分析技術について紹介する。
( page 31~38 by 林 真弓、濵 久勝、稲垣 勝成 )

新規肝細胞癌治療剤ミリプラチンの研究開発

ミリプラチンは肝細胞癌におけるリピオドリゼーションを効能・効果として2009年に承認された。本剤は脱離基にミリスチン酸を有する脂溶性白金系制癌剤であり、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルへの懸濁性が良好である。肝動脈内に投与された本剤の懸濁液は腫瘍選択的に分布して抗腫瘍効果を示し、肝臓非癌部や全身への影響は少ない。本稿では、本剤の製剤的特徴、非臨床試験の成績および臨床試験の成績について概略を紹介する。
( page 39~48 by 田中 一成、国松 武史、島倉 仁、花田 充治 )

農薬の陸圏生態系における影響評価について

農薬の陸域生態系に対する影響評価は安全性評価における最重要課題の一つとなってきている。世界各国の最新規制動向に沿った最先端の手法による評価が求められる中、当社は、生物多様性の保全に基づき、より安全で安心して使用できる農薬の開発の為に、陸域生態系における農薬の安全性を確認している。本稿では、欧米および日本における陸域生態影響に関する影響評価について概説した上で、より精緻な評価を目的として設計された特徴ある高次評価系を駆使して、当社農薬の環境生物に対する安全性を示す事ができた最近の具体例と、今後の新たな取り組みの一端について紹介する。
( page 49~65 by 内海 透、宮本 貢、片木 敏行 )

中性子回折を用いたリチウムイオン二次電池用正極材の結晶構造解析

中性子回折手法は、無機結晶の構造を解析する際、強力な手法となり得る。この手法を用いることによって、遷移金属だけでなくリチウムや酸素などの軽元素についての詳細な解析が可能になる。また、遷移金属の種類を区別しての詳細な解析も可能である。当社では、中性子回折に注目し、中性子回折による解析技術の検討に注力している。本稿では、中性子回折の概要を説明するとともに、リチウムイオン二次電池用正極材の解析に適用した事例を紹介する。
( page 66~72 by 塩屋 俊直 )

大気拡散計算ツールを活用したガス検知器設置位置の最適化

化学プラントでは、万一、漏洩等の初期トラブルが発生した場合でも、大規模災害への拡大を防止するための各種の緊急措置手段を事前に整備しなければならない。その緊急措置計画の策定に際し、特に毒性ガスの漏洩を想定する場合には、ガス検知器の適正配置が必須条件の一つである。そこで本稿では、大気拡散計算ツールを活用し、プラントの実状に即したガス検知器設置位置の最適化方法について検討した内容を紹介する。
( page 73~81 by 宮田 栄三郎、森 繁樹 )

【技術紹介】メタボロミクス研究を支援する代謝パスウェイ解析システムCOMPATHの開発

PDFファイルの閲覧には、Adobe® Reader®が必要です。