mudefと住友化学、蚊帳をマラウイで配布 ―現地NGOを通じて子どものマラリア予防を推進―
2011年05月16日
一般財団法人 mudef
住友化学株式会社
一般財団法人mudef(事務局:東京都渋谷区、代表理事:谷川寛人、以下mudef)と住友化学株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:十倉 雅和、以下住友化学)は、住友化学のマラリア予防に効果を発揮している防虫蚊帳「オリセット®ネット」2000張をアフリカ南部のマラウイ共和国(以下マラウイ)で配布します。
この配布は、mudefが推進するマラリア予防活動・普及啓発を目的とする「Love is Free Campaign(ラヴ・イズ・フリー・キャンペーン)」の一環として実施されるもので、今回で2回目となります。配布はマッチング寄付の形式で行い、「オリセット®ネット」のライセンス供与を受けたマラウイの企業「HEALTH NET LTD」から、mudefが購入する1000張分の「オリセット®ネット」に対し、同数分を住友化学が購入します。購入された蚊帳は、現地NGO 「Consol Homes Orphan Care」 を通じてマラウイの子どもたちに配布されます。
配布事業について
この度mudefと住友化学は、以下の方法で蚊帳を配布します。
- 配布時期:2011年5月~夏(計4回に分けて配布)
- 配布張数:2000張(mudef、住友化学がそれぞれ1000張ずつ購入して提供)
- 蚊帳のタイプ:円錐形。
- 配布方法:国際NGO「PSI/Malawi」※の協力で実施。同団体によって配布先の現地NGOへ搬送および配布のフォローアップが行われる
- 「PSI」は、マラリアやエイズなどの世界的な健康問題に取り組む国際NGO。
Love is Free Campaignの概要
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c mudef
「Love is Free Campaign」は、アーティストのMISIAが推進する、マラウイのエイズ孤児のための施設、「コンソル・ホームズ・オルファン・ケア(Consol Homes Orphan Care)」で出会った子どもたちに、マラリア予防のための蚊帳や教材を配布するプロジェクトです。
2008年11月にMISIAがマラウイを訪問。その際に同国首都リロングウェ近郊にあるエイズ孤児センター「コンソル・ホームズ・オルファン・ケア」を訪問。その際にマラリアで多くの子どもたちが命を落としていることや、学校に通うことも困難になっている状況が紹介されました。
首都リロングウェ付近でエイズ孤児のサポートを行う現地NGO「コンソルホームズ・オルファン・ケア」は、エイズと共に生きる人々(PLWHAs: People living with AIDS)のケアとエイズ孤児14000名のサポートを行っています。
創始者であるチャポンバ園長は、「Love is Free。愛はそこにあるの。与えるものでも、あげるものでもないわ。私たちは悲しむ子どもたちを抱きしめることができる。そんな思いから活動をしているの」と私たちに話してくれました。
「マラウイで出会ったエリナやチャポンバ先生のために何かできないか」、その想いから「Love is Free Campaign」の企画が始まりました。
「Love is Free Campaign」ではマラリア予防と普及啓発を目的に2009年7月より開始。国内での募金活動や協賛によって得た収益を元に現地で蚊帳を購入、「コンソルホームズ・オルファン・ケア」に通う子どもたちに配布します。2010年2月に第1回配布事業を実施。500張を子どもたちに直接手渡ししました。
配布された人からは、「なかなか手に入らなかったので、大変助かった」「安心して眠れる」など喜びの声が届きました。また一方では、スクエア型の蚊帳の場合、使用する家屋の形状として4つの吊るす箇所があると使用しにくいなどの意見もありました。第2回の配布では、第1回の配布の際の意見を踏まえ、円錐形(天井より吊るすのが1か所だけで済みます)の蚊帳を配布します。
「Love is Free Campaign」の目標は、「コンソルホームズ・オルファン・ケア」で必要とされる蚊帳4200張分を届けること。第1回目と今回の配布で、目標達成まで1700張となりました。「Love is Free Campaign」は引き続き必要な数の蚊帳の配布を進めます。
「オリセット®ネット」について
「オリセット®ネット」は、住友化学が独自技術により開発した長期残効型防虫蚊帳で、WHO(世界保健機関)からも使用を推奨されています。同商品は、有効成分であるペルメトリンを「オリセット®ネット」の繊維内に練り込み、徐々に表面に染み出させることで、洗濯をしても効果が5年以上持続します。また、ポリエチレン製のため丈夫で破れにくく、熱帯の地域でも通気性が確保されるよう、蚊帳の穴の形状を工夫しています。
マラリアについて
マラリアはハマダラ蚊を媒介して感染する、熱帯および亜熱帯地域固有の風土病で、主に中南米の亜熱帯、熱帯地域、サハラ砂漠以南のアフリカ、インド亜大陸ならびに東南アジアで発生しています。年間で3.5~5億人を超える人が罹患し、100万人以上が死亡しています。被害者の多くは、幼い子どもと妊婦です。30秒に1人、アフリカの子どもが、マラリアが原因で命を落としています。重度のマラリアから回復した子どもの中には、学習障害や脳損傷が残ることがあり、妊婦やおなかの中の子どもも感染の影響を受けやすくなっています。流行国では流産の60%近くの原因がマラリアで、大きな問題となっています。
また国家経済に対する影響も大きく、世界銀行の試算によると、マラリアはGDPベースで年間120億ドルの損失をもたらしています。これは、サハラ砂漠以南のアフリカ全GDPの4%に当たり、GDP成長を1年当たり1%抑制していることになります。また、マラリアに成人男性が感染することで、貧困に陥り、結果として子どもたちが幼くして働き、教育を受けられないなど、単に健康だけではなく、途上国の教育の問題など、さまざまな問題を引き起こしています。
MISIAのコメント
Love is Free Campaignは、マラウイで出会った現地NGO代表のチャポンバ先生が話してくれた、「愛はそこにあるの」と言う言葉から始まりました。
アフリカでは30秒に一人、子どもがマラリアが原因で命を落とす厳しい現実があり、その多くが5歳未満の幼い子どもたちです。しかしマラリアは、蚊に刺されないことで防げる病気です。
私はマラウイで、マラリアが大変多くの子ども達を苦しめている現実を知りました。
また、暮らしている家は土壁で出来ており、たくさんの隙間から虫が家に入ってきてしまう状態を目の当たりにし、正しく蚊帳を使うことで、少しでも安全に過ごせることが出来るのではないかと思いました。
子どもたちが学び、未来への希望を持つために、まず健康であることが必要です。
キャンペーンは、1人でも多くの子どもが元気に学校に通い、学べますように。
そんな思いが込められています。
この度、mudefとバニラシュガー様との共同開発『星空のショーコラ』の売り上げによって購入した蚊帳と、同じ枚数の蚊帳を住友化学様からご提供いただけるという住友化学様のご協力で、2000張の蚊帳を現地の子どもに届けることができました。
またこの蚊帳は、住友化学様の技術提供によりマラウイの工場で製造されたものになります。
必要なものを現地で得ることが出来るというこの状況は、現地の方たちの収入創出にもつながり、大変素晴らしいものだと思いました。
Love is Free Campaignを始めてからもうすぐ2年。息の長い活動となってまいりました。
キャンペーンにご賛同・ご協力いただきました皆様に、心より感謝を申し上げます。
今後もキャンペーンを通じて、蚊帳を必要としている子どもたちへ、蚊帳を届け続けたいと思います。
そして、より多くの方に、マラリアと子どもの現状について関心を持って頂けるようメッセージを発信していきたいと思います。
どうぞこれらもよろしくお願いいたします。
MISIA
住友化学株式会社ベクターコントロール事業部 水野事業部長のコメント
住友化学は、「自利利他公私一如」という住友の事業精神を受け継ぎ、自社の利益のみを追わず、事業を通じて広く社会に貢献するという理念のもと、時代とともに多様な事業を展開してまいりました。
「オリセット®ネット」は、昔から使われていた蚊帳を、当社の技術によりマラリア予防に効果的で、かつ暑いアフリカでも使いやすいように開発したものです。タンザニアの蚊帳メーカーに技術を無償供与し、2003年から生産をスタートして以降、一人でも多くの方にお届けできるよう、生産体制を相次いで拡大してまいりました。タンザニアでは、現在、約7,000名の現地雇用を創出しています。また、「オリセット®ネット」事業の売上げの一部を使って、タンザニア、ケニア、ガーナなどを含む8ヶ国で学校を建設するなど、アフリカに対する教育支援も行っております。
私も何度もアフリカに渡り、マラリアに苦しむ多くの人々を見てきました。この度、mudef様の「Love is Free Campaign」の趣旨に賛同し、「オリセット®ネット」のマッチング寄付を行うこととしました。このような、マラリア防除を始めとするアフリカ支援の取り組みに協力できることを大変嬉しく思います。
今後も、住友化学は、関係諸機関との連携も図りながら、マラリア予防の取り組みを積極的に支援してまいります。
住友化学株式会社ベクターコントロール事業部
水野 達男
一般財団法人mudefについて
mudef(みゅーでふ)は、「音楽とアートが世界をデザインする」とのコンセプトのもとに、2010年に生まれた一般財団法人です。アートと音楽を通じて、マラリアをはじめとする世界的な課題解決のために、普及啓発活動を行っています。
住友化学株式会社について
住友化学は、基礎化学、石油化学、情報電子化学、健康・農業関連事業、医薬品の5事業分野で、グローバルに事業を展開する日本の総合化学メーカーです。1913年、愛媛県新居浜の別子銅山で、銅の精錬の際に生じる亜硫酸ガスによる環境問題を緩和するため、その排ガスから肥料となる過燐酸石灰を製造したことがその発祥です。幅広い製品のグローバルな供給を通じ、世界の人々の暮らしを支え、社会の発展に貢献しています。
関連リンク
Love is Free Campaign特設サイト
Love is Free Campaign第1回蚊帳配布報告書 日本語
本件に関するお問い合わせ先
本報道資料はご自由に引用ください。
一般財団法人mudef 事務局 担当 長島(ながしま)
TEL&FAX:03-5414-7778 (受付時間:10時~18時 土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)
E-MAIL: info@mudef.net
住友化学株式会社 コーポレートコミュニケーション部 (TEL:03-5543-5102)