社長メッセージ「住友化学の皆さんへ」
2020年05月01日
代表取締役社長
岩田 圭一
新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、この1カ月間にわれわれを取り巻く状況は大きく変わりました。人、モノの流れが停滞し、あらゆる産業においてサプライチェーン見直しの必要性に迫られています。日本でも、4月7日に緊急事態宣言が発出され、人との接触を7~8割削減するため、外出自粛等が強く要請されました。
当社は、東京・大阪本社では原則在宅勤務とし、また各所でもそれぞれの業務に応じた感染防止策を実施してきました。その結果、Face to Faceのコミュニケーション機会が減少するなどいくつかの制約が生じています。また、製造や研究などにおいては、感染防止のため通常時以上の緊張感をもって業務に臨んでいただいており、海外でも、日本以上に厳しい行動制限が行われている国・地域がある中で事業運営に尽力いただいています。こうした大変困難な状況にも関わらず、安全・安定操業、研究開発、マーケティングや営業活動、間接業務を維持・継続できているのは、ひとえに皆さんの努力によるものです。マネジメントとして改めて感謝申し上げます。
さて、皆さん認識のとおり、化学はあらゆる社会基盤を支える基幹産業の一つです。今回のコロナウイルス感染拡大に際して、大日本住友製薬が医療分野のデータベースを無料公開する取り組みや万能インフルエンザワクチンの共同開発をスタートさせ、広栄化学はコロナウイルス治療薬として期待されるアビガンとレムデシビル向けの原料について、それぞれ生産体制を強化しました。また、サンテーラは医療用ガウン向けにポリエチレンフィルムの供給を開始するなど、住友化学グループは総力をあげて拡大抑止に貢献しています。化学産業の間口の広さを再認識するとともに、事業を通じて社会に貢献するという経営理念を、まさに実践するときだと考えています。そのためには、まず安全・安定操業を継続し、社会インフラに必要な素材について供給責任を果たすことが不可欠であり、その大前提は皆さん一人一人の健康にあります。引き続き、公私にわたって感染防止を徹底いただくよう今一度お願い申し上げます。
当社はこれまでも、二度にわたるオイルショックやリーマンショックに端を発した世界同時不況など、何度も大きな危機に見舞われ、その都度乗り越えてきました。今回のコロナショックは、世界恐慌に匹敵するほどの危機とも言われ、この先も予見が難しい状況が続くと思われます。しかし、4月に申し上げたとおり、当社が取り組むべき方針に変更はありません。イノベーションを通じて社会が直面する課題を解決することで、住友化学グループは成長していきます。この逆境にひるむことなく、「疾風に勁草を知る」の精神で、一丸となってたくましく難局を乗り切り、将来のさらなる飛躍につなげていきましょう。
以上