シンガポールでプロパン脱水素技術と二酸化炭素の有効利用技術を組み合わせる検討を開始 〜環境負荷低減と経済活動の両立を目指して〜
2020年12月24日
住友化学は、このたび、シンガポールにある当社グループの石油化学コンプレックス内で、プロパンガスからプロピレンを生産するプロパン脱水素(PDH)技術と、それから副生される水素のほか二酸化炭素を原料に、高効率でメタノールを合成する技術とを組み合わせる検討を開始いたしました。なお、本件は、環境負荷低減と経済活動とを両立できる取り組みであることから、シンガポール経済開発庁(EDB)の支援を受けています。
主に合成樹脂原料として使われるエチレンやプロピレンなどの石化製品は、ナフサ・クラッキングで製造されていますが、近年は、シェールガス由来のエタンを原料とするエタン・クラッキングが増加しています。エタン・クラッキングは、ナフサ・クラッキングに比べエチレン以外の生産物が少なく、その増加に伴いプロピレンが相対的に不足する傾向にあることから、今回導入を検討するPDH技術は、プロピレン供給不足への解決策になると考えています。また、産業活動によって多量に発生し地球温暖化の原因となる二酸化炭素については、総排出量抑制のために、その有効活用が不可欠です。住友化学は現在、島根大学と共同で二酸化炭素からメタノールを高効率で合成する技術の研究を進めています。本合成には水素が必要であるため、PDH技術によるプロピレン製造の際に副生される水素と、石油化学コンプレックス内などで排出された二酸化炭素とを利用する観点から、この2つの技術を組み合わせて実装することを検討します。
PDH技術は既に確立されているため、二酸化炭素と水素からメタノールを高効率で合成する技術が確立すれば、二酸化炭素の削減による環境負荷低減と、製品需要への対応や石油化学コンプレックスの経済性の向上を同時に実現できる、新たなブレークスルーになると考えています。
EDBの副次官で環境持続性などを担当するダミアン・チャン氏は、「EDBは、2つの技術を組み合わせてシンガポールに導入するという住友化学の計画を支援します。本計画は、EDBが目指している、ジュロン島での高付加価値な石油化学品製造のために必要なプロピレンの供給量の増加、さらにはシンガポールにおける低炭素なエネルギー産業や化学産業の実現につながるものです。EDBは、住友化学のような化学産業におけるリーダー企業が、革新的技術を商業化する場所としてシンガポールを選択したことを、とても心強く思います」と述べています。
住友化学は、シンガポール政府の協力も得ながら、本技術の早期導入を果たすとともに、これからも経済価値と社会価値の両方を創出し、事業を通じてサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
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