住友化学とニューライトテクノロジーズ社、微生物によって生産されるカーボンネガティブ※1な樹脂を用いた自動車・繊維向け材料の共同開発に着手
2022年05月31日
住友化学と米国ニューライトテクノロジーズ社は、このたび、メタンを原料として微生物によって生産されるカーボンネガティブな樹脂を用いた自動車・繊維向けポリプロピレン(PP)コンパウンド※2の共同開発に着手いたしました。
メタンは、二酸化炭素(CO2)の約25倍の温室効果があるとされ、2021年の国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)でメタン排出量の削減を目指す国際的な枠組みが発足するなど、その削減が地球温暖化を効果的に抑制するための重要な対策となっています。
住友化学は、グローバルに事業を展開する総合化学メーカーとして、50年のカーボンニュートラル実現に向けて、グループの温室効果ガス(GHG)排出量をゼロに近づける「責務」と、自社の製品・技術を通じた世界のGHG削減への「貢献」の両面で取り組みを推進しています。特に、高い品質や環境負荷低減が求められる自動車向けの材料においては、高機能なPPコンパウンドやリサイクル材料を使った製品などを製造し、世界の大手自動車メーカーに供給しています。
ニューライトテクノロジーズ社は、米国カリフォルニア州に本社を置く企業で、メタン資化菌※3を活用した独自の研究により、世界で初めてメタンを炭素源とした樹脂(製品名:AirCarbon TM)の開発に成功しています。AirCarbon TMは、第三者機関※4によって、製造時の電力に再生可能エネルギーを用いた場合、製品カーボンフットプリントが大きくマイナスになると認定されています。同社では、20年にこの樹脂の商業用プラントを世界で初めて稼働させ、すでにさまざまな顧客に販売しています。
今回の共同開発において、ニューライトテクノロジーズ社は、炭鉱や農業・産業廃棄物から回収したメタンを用い、自動車向けと繊維向けそれぞれの用途に適したAirCarbon TM の開発を行います。住友化学は、長年にわたり培った樹脂設計・加工技術を生かし、ニューライト社が開発する樹脂とPPなどを混練することで、従来品と同品質で環境負荷が低い自動車のバンパーや内装材に加え、従来のPPコンパウンドでは難しかった染色が可能な繊維向けの材料を開発します。両社は、互いの技術を融合して生み出した製品をさまざまな産業分野に提供することで、カーボンニュートラル社会の実現への貢献を目指していきます。
住友化学は、これからも、オープンイノベーションを積極的に推進し、社会課題の解決に貢献する新しい製品や技術の開発を加速させてまいります。
【両社のコメント】
〇住友化学株式会社 竹下憲昭 代表取締役専務執行役員
当社のPPコンパウンド事業は、サーキュラー・エコノミーの実現に貢献するべく、リサイクルPP の活用を積極的に推進しています。さらに、ニューライトテクノロジーズ社のAirCarbon TM の活用により、カーボンネガティブなPPコンパウンドをお客さまへ提供したいと考えています。
〇ニューライトテクノロジーズ社 マーク・ヘレマ最高経営責任者(CEO)
AirCarbon TM のミッションは、自然を利用したソリューションを使って大規模な脱炭素化を実現することであり、住友化学との協力はその目標に近づくための一助となります。住友化学との提携により、自動車業界のパートナーがCO2削減の目標を達成できるようなアプリケーションが市場に出てくることを期待しています。
※1 原料調達・輸送・製造に係るライフサイクル(Cradle to Gate)でのGHG排出量合計(製品カーボンフットプリント)がマイナスの値になること
※2 PPに合成ゴムやガラス繊維、無機フィラーなどを混練し機能性や剛性などを向上させた材料
※3 メタンの炭素をエネルギー源として成長する微生物
※4 環境コンサルタントであるSCS Global ServicesおよびCarbon Trust
ニューライトテクノロジーズ社の概要
会社名 |
Newlight Technologies, Inc. |
---|---|
本社所在地 |
米国カリフォルニア州 |
設立 |
2003年 |
CEO |
Mark Herrema |
事業内容 |
バイオマテリアルの製造・販売 |
HP |
-
AirCarbonTM製造プラント(カリフォルニア州)
-
AirCarbonTMのペレット
以上
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住友化学株式会社
コーポレートコミュニケーション部
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