2004年度
住友化学 2004-Ⅱ(2004年11月30日発行)
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MMA事業は住友化学にとって基礎化学品の大きな柱の一つであり、需要が伸びているアジア地域に積極的に事業を拡大しようとしている。MMAモノマーの製造技術は現在5つの方法が並存しており、圧倒的に優位な方法が存在していない状態にあるが、当社も採用しているC4法がその勢力を伸ばしつつある。C4直酸法を中心とした現行法の紹介と期待される次世代技術について解説する。
(page 4~14 by 永井 功一,宇井 利明)
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今日、プラスチックCAE(Computer Aided Engineering)は、プラスチック製品設計において、必須の技術として利用されている。一方、本技術は、実用化が始まったCAO(Computer Aided Optimization)技術と統合することにより、プラスチック製品の自動最適設計が可能となり、より一層の製品設計の期間短縮や、開発コスト低減、および製品の品質・性能向上を図ることができ、さらに材料開発の強力な支援技術となりうる。本稿においては、我々が構築してきたプラスチックCAEと CAOの統合技術の概要、適用事例および統合プラスチック製品最適設計システム(SIDOS)について紹介する。
(page 15~25 by 東川 芳晃,広田 知生,永岡 真一)
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近年、新医薬品開発における薬物動態の重要性が益々認識されつつある。すなわち、各開発段階(創薬/探索段階ならびに開発/市販後段階)において、タイムリーに、且つ的確に提供される動態情報が、開発の可否決断のための有用な科学的根拠と成ることが多くなっている。本著では、具体例を交えて、薬物動態研究の実際を述べるとともに、これからの新展開についても紹介したい。
(page 26~34 by 佐藤 公彦,渡邉 貴夫,西岡 和彦,矢吹 昌司,小室 勢津子)
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腫瘍領域における画像診断は、形態学的情報にもとづいて行われているが、その限界も指摘されている。腫瘍局所の生物学的な特徴を画像化するfunctional imagingは、解剖学的な情報にもとづいた画像診断や、生検が根本的に保有する問題点を解決する方法であり、核医学診断は、これらの問題点を解決する可能性を持っている。本稿では、このfunctional imagingを実現するための放射性医薬品研究の現状について紹介する。
(page 35~44 by 服部 英史,豊原 潤)
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性質の異なる物質や相をナノメートル(nm)オーダーで組み合わせることにより行われている先端材料の開発には、サブnmオーダー(原子オーダー)の空間分解能で形状観察ができる透過型電子顕微鏡(TEM)は必須の構造解析法である。さらに最近の技術的な進歩によりTEMを用いた元素分析法はnmオーダーの空間分解能を有するに至っており、形状と組成の両面からの構造解析が可能となっている。TEMを中心とした電子顕微鏡技術の最近の進展とその原理、応用例と将来展望について紹介する。
(page 45~54 by 本多 祥晃)
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静電気現象は近年の目覚しい研究成果によって複写機、集じん機等、産業上の有効活用が図られるに至っているが、一方ではエレクトロニクス分野の静電気放電による障害問題や化学産業における火災や爆発トラブルといった静電気災害が今もなお後を絶たない。静電気災害防止のためには、工場で実際に生産に携わるオペレーターやスタッフが静電気的な潜在危険要因を発見し、保安防災の専門家に相談することが何よりも重要である。本稿では対象を静電気による火災・爆発防止に限定し、静電気災害防止に関して工場で生産現場に携わる人が知っておくべき静電気帯電ならびに放電現象について紹介するとともに、災害防止技術と当社で実施している静電気危険性評価手法について紹介する。
(page 55~64 by 太田 潔)
住友化学 2004-Ⅰ(2004年5月31日発行)
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当社は低温で高活性を有する熱伝導性に優れたRuO2/TiO2触媒を開発し、これを充填した固定床反応器による塩酸酸化プロセス技術を確立した。住友化学技術の特長は、転化率が高く、食塩電解塩素よりも高純度な塩素が得られ、副生塩酸水も食添グレードの高品質なことである。反応器はコンパクトで40万 t/y規模でも一基で対応でき、しかも反応熱はスチームとして回収するなど低コストに仕上げている。更に排水量は少なく環境にも優しい技術である。
(page 4~12 by 岩永清司、関航平、日比卓男、磯尾公太郎、鈴田哲也、中田幹俊、森康彦、阿部忠)
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この10年、自動車タイヤ用の合成ゴム、フィラーは大きな変貌を遂げている。省燃費性能(燃料コスト低減)は年々より重視される傾向にあり、この要求に応える為に、タイヤトレッドにおいて、従来のカーボンブラック(CB)配合の代わりに、新規なシリカ配合系が開発されるに到っている。このシリカ配合の性能を向上させる為には、ポリマーの官能基化等の分子構造設計をより厳密に行う必要があり、リビングアニオン重合プロセスは、この意味において非常に有用な方法である。例えば、ポリマーの末端変性や、多官能変性を厳密に行う事が可能である。本稿では、シリカ配合系の最近の動向と、それを見据えた溶液重合SBRの設計について概観し、合わせて筆者等の開発したポリマーの新規な多官能基化処方に関して概説する。
(page 13~23 by 稲垣勝成、林真弓、今井昭夫)
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Sumilizer G シリーズは、高分子材料の機能維持のための優れた添加剤である。Sumilizer G シリーズは、Sumilizer GM、Sumilizer GS、Sumilizer GA-80 とSumilizer GPから構成されている。Sumilizer G シリーズは、住友化学の評価・合成技術の結晶として開発された。Sumilizer G シリーズの開発においては、性能評価に留まらず、作用機構の推定や検証を行い、新たな用途を創造してきた。本稿では、Sumilizer G シリーズの特異な機能の概要とそれらに基ずく新たな用途展開について、紹介する。
(page 24~30 by 児島史利)
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デラウス®(ジクロシメット)は住友化学が開発し2000年4月に農薬登録を取得した稲いもち病防除剤である。農薬に対する安全性の向上や病害虫防除の省力化が要望される中、より安全、且つ省力施用技術を提供するために鋭意検討を加え、いもち病と水稲諸害虫の長期間防除を可能にしたデラウス®プリンス®粒剤の播種時処理技術を実用化した。ここでは、本剤の播種時処理における実用効果と、国内の大手機械メーカーと共同開発を行った水稲の播種作業と同時に薬剤防除ができる施薬機を紹介する。
(page 31~38 by 小川正臣、浦川素良)
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塗工紙は紙(原紙)表面に白色顔料とバインダーを主成分とした塗料を塗布した、白さ、平滑性、インキ受理性等の印刷適性に優れる紙である。近年、塗工紙の高品質化に伴い白紙光沢に対する要求は益々高くなってきた。本稿では、塗工~乾燥工程間での塗料の体積変化や原紙の膨潤収縮に着目した白紙光沢に関する解析結果と、それに基づく白紙光沢を向上させる塗料設計の考え方を紹介する。
(page 39~44 by 北村典子)
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近年のゲノム研究の進展により、化学物質の毒性や副作用を遺伝子のレベルで解析するトキシコゲノミクス研究が盛んとなってきた。我々は、公的プロジェクトに参画する一方、効率的な新規毒性スクリーニング系の構築や毒性発現機構解明を目指し、トキシコゲノミクス研究を推進している。本稿では、トキシコゲノミクス研究の世界的な情勢と展望について概説するとともに、本分野における当社の取り組みの一例について紹介する。
(page 45~52 by 山田徹、住田佳代、斎藤幸一)
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光学的な検討によりLCD用カラーフィルタの特性向上の限界を調べる。三原色の色度、明るさ、顔料の粒径、透明導電膜による光損失、LEDバックライト用カラーフィルタ、顕微分光測光についての検討結果を紹介する。
(page 53~62 by 中塚木代春)
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簡便でかつ不明成分の相対揮発度も得ることができる気液平衡関係の新たな測定方法を開発したのでその詳細内容を報告する。現在までに多くの研究者によって使用されているヘッドスペースガスクロマトグラフィー(HSGC)による相対揮発度の測定法ならびに測定結果についても記す。さらに、HSGCによる2成分系気液平衡関係および無限希釈活量係数の測定法ならびに測定結果も示す。最後に、従来より当社で使用しているRogalski-Malanowski型気液平衡測定装置による測定法ならびに測定結果を紹介し、HSGCとの比較を行う。
(page 63~70 by 山本盛夫、楢原英夫)
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コンピュータケミストリーの役割は益々大きくなっているが、未だ、一部の専門家のツールと言わざるを得ない。一方で、インターネットの普及により、近年化学分野でも様々なシステムが普及し始めた。そこで、研究者の社内システムの利用促進と社内情報の公開を目的として、Webを利用したシステムを構築した。Web上で、自社開発してきた合成反応設計システムと社内反応データベース、そして物性推算システムを統合化し、統一の入力エディターから複数のシステムを利用できる環境を構築した。
(page 71~78 by 田中章夫、嘉藤田渉)
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