成長戦略
高度化する情報通信用デバイス要求特性に適合した半導体材料の開発
モバイル通信市場においては、高速データ通信網の整備が進み、2016年には下り最大1Gbpsを実現する3.5GHz帯LTE- Advanced(4G)、2020年には現在のLTE通信速度の100倍を超える10Gbpsを実現する第5世代(5G)の導入が開始されました。これに伴い、化合物半導体を用いた高周波デバイスに対する要求が厳しくなっております。スマートフォンやタブレット等インターネット接続機能を有する端末には広帯域、低消費電力に優れたGaAsデバイスが、多様化する携帯電話基地局向けには高効率、小型の送信用パワーアンプにGaNデバイスが期待されております。私たちは、GaAsエピ、GaNエピの開発を強化し、ご要望特性にマッチングした製品を提供し、本市場の拡大とともに、主要材料サプライヤーとして成長を目指してまいります。
次世代高効率電力変換デバイスに適したGaN on GaN材料の実現
GaNデバイスは高周波デバイスの他に、省電力が要求されるパワーデバイスにおいても注目されています。パワーデバイス市場においては、小型化しながら損失を低減した高速スイッチング電源やインバータへの応用が期待されています。上記高効率デバイスを実現する手段の一つとして、GaN基板上にGaNエピタキシャル層をもつ構造(GaN on GaN)のデバイスが注目されています。私たちは、GaN基板製造技術とGaNエピウェハ製造技術の両方を有しており、その優位性を生かし、次世代省エネGaNデバイスの材料トップサプライヤーとなるべく、研究開発を進めております。
環境負荷物質の低減に寄与する次世代材料の提供
GaNはエネルギーバンドギャップが広く、これまで実現が困難であった短い波長帯(緑、青、青紫、紫外)のデバイスを製作することが可能になります。すでに白色LEDはサファイア上のGaN結晶の実現により、光源の一つとして広く普及しております。一方、LEDよりもさらに高い電流密度を必要とするレーザーには、転位密度の低いGaN自立基板が必要となります。GaN自立基板上の青色レーザーは各種高効率光源として実用化され、これまでの水銀を用いたランプの代替用途への適用も進んでおります。
また、角速度センサ等に広く用いられている圧電薄膜の多くは、環境負荷物質の鉛が含まれています。私たちは環境負荷物質の使用廃止を目指して、圧電薄膜の分野においても、鉛を使用しない新しい代替材料(KNN:ニオブ酸カリウムナトリウム)の開発を進めています。
さらに電解反応によるCO2還元や、オゾン水生成、各種電気化学センサに利用できるホウ素ドープダイヤモンド電極(BDD:Boron Doped Diamond)の開発を進めております。
私たちは、今後もサステイナブルな技術の開発及び普及を促進して参ります。