光ピックアップボビンとは、音楽用のCDやパソコン用CD-ROM、DVD-ROM等の光ディスクの読み取り装置、音楽用CD-R/RW、記録用DVD等の光ディスクの読み取り・書き込み装置(光ディスクドライブ・光ディスクレコーダー)の主要部品です。
光ディスクドライブは、光ディスクに刻まれたμm(1/1000mm)単位の小さな溝(ピット)に、レーザー光を照射して情報を読み取り、書き込みます。この際、高速で回転するディスク上にレーザー光の焦点を合わせる(フォーカシング)ために、コイルを用いて発生させた磁力を使用してレンズ自体を高速で移動させます。そのため光ピックアップボビンは、下図のようなボビンの上にレンズを載せた構造となり、別名「レンズホルダ」と呼ばれています。
図6-3-1 光ピックアップボビンの構造
光ピックアップボビンに要求される特性は以下の通りです。これらの特性を満たすスミカスーパーLCPは、光ピックアップボビンに多く用いられています。
表6-3-1 光ピックアップボビンの要求特性とスミカスーパーLCPの特性
要求事項 | 左記特性による効果や左記特性が必要な理由 | スミカスーパーLCPの特性 |
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小型・軽量であること | 小さな電力でボビンを移動させられるため省電力化、高感度化を実現 |
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信号を適切に 読み取れること |
動作する周波数(~20kHz)以下で共振(共鳴)すると信号が読み取れなくなる。低比重かつ剛性が高い材料を使用すると共振周波数が高くなる |
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安価であること | 射出成形で大量生産できる。組立工程でディップハンダ(350~400℃×数秒)が可能なため、金属端子をインサートする工程が不要 |
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スミカスーパーLCPの中で、光ピックアップボビン用途に適したグレードはE5006LとE5008Lです。
標準グレードのE5006Lはピックアップボビンに最も適したグレードです。
CD-DA(オーディオ用)や低倍速のCD-ROM等にはE5008Lを推奨します。