スミカスーパーLCPの見掛けの溶融粘度のせん断速度依存性と温度依存性を下記に示します。スミカスーパーLCPは他のエンプラと比較し、見掛けの溶融粘度は、せん断速度と温度の両方の影響を大きく受けるため、射出成形時の射出速度やシリンダ温度、せん断発熱により成形加工性は大きく変化します。スミカスーパーLCPは低粘度でかつせん断速度依存性が高いので、射出速度を高速にしても圧力は高くなりにくく高速射出成形が可能です。適切な射出成形における条件のもとでは極めて低粘度を示し、薄肉の製品や複雑な形状の製品へ充填が可能となります。一方で射出速度やシリンダ温度の管理や摩耗等によるせん断力の変化の確認が必要となります。
図4-2-1 見掛けの溶融粘度のせん断速度依存性
図4-2-2 見掛けの溶融粘度の温度依存性
スミカスーパーLCPは、他のエンプラと比較し、非常に優れた薄肉流動性を示します。図4-2-3に示した金型を使用して各グレードの流動性を測定した各グレードの薄肉流動性(厚み0.2、0.3mm)を図4-2-4に、厚み1mmのバーフロー長を図4-2-5に示します。
図4-2-3 薄肉流動長測定金型(単位:mm)
製品厚み: | 0.3mm |
ランナ: | 4.0mmφ |
ゲート: | 0.3t×1.5w×2.0L |
流動長は4キャビ平均 |
製品厚み: | 0.2mm |
ランナ: | 3.0mmφ |
ゲート: | 0.2t×1.5w×2.0L |
流動長は4キャビ平均 |
成形機: | 日精樹脂工業PS10E1ASE |
射出圧力: | 0.2mm厚:90MPa 0.3mm厚:60MPa |
射出速度: | 0.2mm厚:95% 0.3mm厚:60% |
金型温度: | 130℃ |
図4-2-4 薄肉流動性
図4-2-5 各種エンプラの1mm厚みの流動性
スミカスーパーLCPの薄肉流動長は、成形条件や形状に依存することから、成形条件を一定の条件にした際に、樹脂の流動性を相対的に比較することができます。スミカスーパーLCPの薄肉における流動性について、射出圧力を変更した際の流動長を示します。スミカスーパーLCPは、試験片厚みが0.1mm厚みでも高い流動性を有し、成形条件幅が広く、様々な形状に適応することができます。
薄肉流動性測定条件(0.10mm, 0.12mm, 0.15mm, 0.20mm, 0.30mm)
図4-2-6 薄肉流動長測定金型
図4-2-7 薄肉流動長
図4-2-8 薄肉流動長の厚み依存性1
図4-2-9 薄肉流動長の厚み依存性2