レーザー溶着とは、レーザー光を照射し、対象との境界面に熱を発生させて溶着する工法です。レーザーによる樹脂溶着では「光透過性樹脂」と「光吸収性樹脂」とを組み合わせます。スミカスーパーLCPはレーザー溶着が可能ですが、下記の点に注意してください。
<透過側材料>
LCPはフィラーを高充填しているためレーザー(赤外線)の透過率が低いので、成形品の厚みを薄くする必要があります。レーザー溶着が可能な成形品の厚みは0.3mm以下です(0.3mm以上については当社担当にご相談ください)。赤外線の透過率が10~30%と低いため、条件範囲は狭くなります。レーザー溶着可能なLCPとしては、充填材の量が少ないグレードが適しており、ガラス繊維のみを適用したグレードが好適です。また、無機充填材を添加したグレードは、透過率が低くなりますのであまり適していません。
<吸収側材料>
透過側材料と同一の黒グレードを使用してください。
図5-5-1 スミカスーパーLCPのレーザー溶着の試験方法
表5-5-1 スミカスーパーLCPのレーザー溶着強度
透過側 | 吸収側 | ガラス板 | 溶着強度(MPa) | ||
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グレード | 試験片厚み | グレード | 試験片厚み | ||
E6008 | 0.3mm | E6008 B | 0.5mm | 不使用 | 8.6 |
E6008 | 0.3mm | E6008 B | 0.5mm | 使用 | 10.2 |
E4008 | 0.3mm | E4008 B | 0.5mm | 不使用 | 10.1 |
E6007LHF | 0.3mm | E4008 B | 0.5mm | 不使用 | 15.6 |